クランダ高原鉄道
この鉄道は、今から110年程前に建設された。線路は山の急斜面や崖などに敷かれており、建設機械のない当時としては、難工事の連続だったようだ。
クランダ観光の、もう一つの柱である、この鉄道を使って、ケアンズへ帰るのであるが、この鉄道が、また情緒たっぷりである。
先頭車はディーゼル機関車で、客車は14両連結。木造で、レトロ調のつくりとなっており、まるでオトギ列車に乗っているようだ。
この列車の座席のほぼ9割がうまっており、人気の高さを物語っている。土曜、日曜などは、予約がないと乗れないこともあるようだ。
列車はクランダ駅を出発し、ゆっくり、ゆっくり、時速30KM程で走ってゆく。
それがまたのどかで心地良い。走り出してしばらくは、熱帯雨林の中を進んでゆくが、10分位乗っていると、片方が切り立った壁のような所へ来た。そして、突然視界が開け、その真下にバロン川が見えてくる。
このバロン川は雨季のせいもあって、水量は豊富であるが、色は見事な茶色、私は今までこのような茶色い川は見たことがない。
列車は切りたった崖の狭い空間を、こわごわ通っていくような、ゆっくりした走りを続けている。列車から真下を見下ろすと、なんだか吸い込まれていきそうな錯覚に陥る。よくもこんな場所に鉄道を敷いたものだと感心させられる。
さらにしばらく進むと、スカイレールからも見えたバロン滝が見えてきた。あわててカメラのシャッターを切っていたところ、列車はこのバロン滝の絶好のビューポイントで停車した。
何と乗客サービスのため、10分間停車、車外に出てもOK、とのことである。私もカメラを持って、最も良く見える場所へ移動し、カメラに何枚か収めることが出来た。
それにしても、ここの眺めは、ど迫力。何とも形容しがたい、壮大なスケールを見せてくれた。
列車は熱帯雨林の中をバロン川に沿って、さらに進んで行く。
前方に鉄橋が見えてきた。その鉄橋の横には、ストーニー クリーク渓谷があって、45メートルの落差がある滝が流れ落ちている。
また、鉄橋から下を見ると、ゾーッと背筋が寒くなるような眺めである。ガイドブックには、ここの写真が載せられており、見所の一つとなっている。
列車がすすむ途中、崖崩れの跡なども随所にあり、スリル満点である。そうこうしているうちに、片方の熱帯雨林が途切れ、広い平野が見え始めた。ここまで来ると、もう一安心。天気の良い日は、遠くグリーン島などが見えるようであるが、あいにく今日はそこまでの視界はなかった。
クランダ駅からケアンズ駅までの高原列車の旅は、約90分で終わったが、強く印象に残る、素晴らしい旅であった。

写真はクランダ高原鉄道
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